第三十四話 7月6日(土)日本夏祭り@音楽と芸術の町ブラチスラバ
令和元年6月26日
スロバキアの首都ブラチスラバ市の旧市街は、四方の一辺が1キロメートルに満たないこじんまりとしたエリアです。中世から悠久の時がそのまま止まっていると錯覚してしまいそうな、石畳の街並みの中をゆっくり歩いていくと、一周して1時間もかかりません。聖マルティン教会の鐘楼の鐘が時々ガランコロンと鳴って、時間を教えてくれます。
その旧市街の中には、スロバキア・フィルハーモニー・オーケストラの本拠である石造りの典雅なコンサートホール(レドゥタ)が聳えています。この建物は、5月に行われたスロバキアの新大統領の就任式典にも使われました。直ぐ隣には、クラシックな旧国立劇場もあります。ここではオペラやクラシック・バレエが上演されており、日本人バレリーナ達も活躍しています。
更に旧市街の中には、昔は貴族の館であったと思われる「・・・パレス」(宮殿)と名の付く中規模な歴史的建造物がいくつも残っています。これらの多くは現在、市や区の持ち物になっており、展覧会や音楽のコンサート、各種文化イベントなどとして頻繁に使われています。
日本と比べて、スロバキアでは音楽や美術が人々の生活にとってより身近な存在であるように感じます。コンサートや展覧会は、政府から補助が出ていることもあり、料金は驚く程安くリーズナブルです。地元の人々が気軽に、質の高い芸術に触れる機会が頻繁にあるのがブラチスラバです。特に5月から9月にかけては、気温は上がるものの湿度は低く天気の良い日が続くので、毎日のようにあちらこちらで音楽、芸術イベントが開かれています。
そんな文化豊かな町ブラチスラバにおいて、毎年夏に日本大使館主催で行っているのが、「日本夏祭り」です(写真上ポスター)。
4回目になる本年は、7月6日(土曜日)に、旧市街の中央広場と、その隣の旧市庁舎の中庭で行われます。出し物は、茶道、生け花、和服の着付け、盆栽、将棋や碁などの各デモンストレーションがまず行われ,その後,午後5時15分から,メインステージにてオープニングの「鏡割り」(注:日本酒の入った大きな木樽を木槌で割って、イベントの開始と無事を祈る儀式)を行い,音楽コンサート、日本舞踊公演、合気道や柔道、空手などの武道デモンストレーションが、午後から夕方にかけて実施の予定です(文末スケジュール表参照)。
特に今回は、スロバキア柴犬協会とも協力の上、日本原産で天然記念物にも指定されている日本の「柴犬」を紹介するイベントを初めて行います。柴犬は、勇敢で、沈着冷静で、また飼い主に強い忠誠心を持つなど、日本人の性格を良く反映している(?)とも言われています。ちなみに私も日本から柴犬(メス)を連れてきており、スロバキア人の愛犬家が飼っておられる柴犬達とともに、夏祭りの当日にはライブ出演させていただく予定です(写真下)。
ブラチスラバ在住、あるいは旅行中の皆様におかれては、お時間がありましたら7月6日(土)午後の「日本夏祭り」に是非ともご参加いただけますように、お願い申し上げます。お待ちしています。
ところで、ブラチスラバには、欧州各国を中心に、世界各国の大使館が置かれています。その総数や50公館位でしょうか。多くの公館が、日本が今回行う「日本夏祭り」のように、自国の文化・芸術をスロバキア人に紹介するイベントを各種行っています。特に多いのが音楽関係で、各国大使館が自国の著名な演奏家をブラチスラバに招いて行うコンサートに、私も頻繁に招待されます。
私が欧州の各大使館の行う文化イベントを見ていてうらやましいな、と思うのは、欧州各国の人々はお互い、歴史的に永年にわたり共有している文化・芸術の共通の「ベース」があるということです。彼らは異なる国々の間でもお互いの文化を理解することが比較的容易です。例えば、欧米の殆どの国の芸術にはキリスト教が根付いています。各国の言語もラテン語やギリシャ語が起源か、また、その影響を大きく受けています。音楽について言えば、クラシック音楽の演奏は欧州どの国でも使う楽器はほぼ共通しています。歴史上の欧州の著名な作曲家、例えばブラームス、ショパン、モーツァルトなどと言えば、欧州人であれば皆、その名前を知っているばかりか、音楽の中身についてもそれなりの知識を共有しています。スロバキア人なら欧州の某大使館からコンサートの案内が来ても、「ああ、あの音楽か」と、すっと入っていけるわけです。
これに対して、日本を含むアジア諸国の文化・芸術については、欧州各国においては、一部のマニアックなファンを除き未だ知名度が高くないのが実情です。多くの欧州の人々にとって、アジアの文化芸術というのは、依然「エキゾチックな」存在なのです。したがって、例えば同じく音楽を例にとれば、日本の作曲家や演奏家をスロバキア人に紹介してもご存じないことが殆どですし、楽曲についても馴染みがないものが殆どです。そこをなんとかコンサートに来ていただいて、実際に楽曲を聴いていただき、好きになっていただければこちらのものです。しかし、やはり耳慣れた欧州の音楽に比べて、アジアの音楽についてはオーディエンスの側に背景や予備知識が殆どありません。それを乗り越え、受け入れて、楽しんでいただくためには、ある程度の好奇心と時間を要するように思われます。
いずれにせよ、百聞は一見にしかず、です。皆さんのお出でをお待ちしています。
参考 日本夏祭りのプログラム
旧市庁舎中庭
13:30 茶道デモンストレーション(裏千家講師 高松宗力氏)
14:00 生け花デモンストレーション(草月流 小宮山智子氏)
14:45 着付けデモンストレーション/日本舞踊ワークショップ
15:15 盆栽デモンストレーション(盆栽センター・ブラチスラバ)
15:45 将棋・碁デモンストレーション(スロバキア将棋協会)
16:15 柴犬紹介(Shiba inu Slovakia)
中央広場
17:15 オープニング(鏡割り)
17:30 音楽コンサート(フダーク・アンサンブル・ウィーン)
18:00 上方舞(日本舞踊)公演(小川流四世家元 小川照氏)
18:30 武道デモンストレーション(クリラ武道館(合気道),Judo Club Patronka、Judo Club Levice(柔道)Slovak Karate Union/Sports Club Bratislava(空手))
その旧市街の中には、スロバキア・フィルハーモニー・オーケストラの本拠である石造りの典雅なコンサートホール(レドゥタ)が聳えています。この建物は、5月に行われたスロバキアの新大統領の就任式典にも使われました。直ぐ隣には、クラシックな旧国立劇場もあります。ここではオペラやクラシック・バレエが上演されており、日本人バレリーナ達も活躍しています。
更に旧市街の中には、昔は貴族の館であったと思われる「・・・パレス」(宮殿)と名の付く中規模な歴史的建造物がいくつも残っています。これらの多くは現在、市や区の持ち物になっており、展覧会や音楽のコンサート、各種文化イベントなどとして頻繁に使われています。
日本と比べて、スロバキアでは音楽や美術が人々の生活にとってより身近な存在であるように感じます。コンサートや展覧会は、政府から補助が出ていることもあり、料金は驚く程安くリーズナブルです。地元の人々が気軽に、質の高い芸術に触れる機会が頻繁にあるのがブラチスラバです。特に5月から9月にかけては、気温は上がるものの湿度は低く天気の良い日が続くので、毎日のようにあちらこちらで音楽、芸術イベントが開かれています。
そんな文化豊かな町ブラチスラバにおいて、毎年夏に日本大使館主催で行っているのが、「日本夏祭り」です(写真上ポスター)。
4回目になる本年は、7月6日(土曜日)に、旧市街の中央広場と、その隣の旧市庁舎の中庭で行われます。出し物は、茶道、生け花、和服の着付け、盆栽、将棋や碁などの各デモンストレーションがまず行われ,その後,午後5時15分から,メインステージにてオープニングの「鏡割り」(注:日本酒の入った大きな木樽を木槌で割って、イベントの開始と無事を祈る儀式)を行い,音楽コンサート、日本舞踊公演、合気道や柔道、空手などの武道デモンストレーションが、午後から夕方にかけて実施の予定です(文末スケジュール表参照)。
特に今回は、スロバキア柴犬協会とも協力の上、日本原産で天然記念物にも指定されている日本の「柴犬」を紹介するイベントを初めて行います。柴犬は、勇敢で、沈着冷静で、また飼い主に強い忠誠心を持つなど、日本人の性格を良く反映している(?)とも言われています。ちなみに私も日本から柴犬(メス)を連れてきており、スロバキア人の愛犬家が飼っておられる柴犬達とともに、夏祭りの当日にはライブ出演させていただく予定です(写真下)。
ブラチスラバ在住、あるいは旅行中の皆様におかれては、お時間がありましたら7月6日(土)午後の「日本夏祭り」に是非ともご参加いただけますように、お願い申し上げます。お待ちしています。
ところで、ブラチスラバには、欧州各国を中心に、世界各国の大使館が置かれています。その総数や50公館位でしょうか。多くの公館が、日本が今回行う「日本夏祭り」のように、自国の文化・芸術をスロバキア人に紹介するイベントを各種行っています。特に多いのが音楽関係で、各国大使館が自国の著名な演奏家をブラチスラバに招いて行うコンサートに、私も頻繁に招待されます。
私が欧州の各大使館の行う文化イベントを見ていてうらやましいな、と思うのは、欧州各国の人々はお互い、歴史的に永年にわたり共有している文化・芸術の共通の「ベース」があるということです。彼らは異なる国々の間でもお互いの文化を理解することが比較的容易です。例えば、欧米の殆どの国の芸術にはキリスト教が根付いています。各国の言語もラテン語やギリシャ語が起源か、また、その影響を大きく受けています。音楽について言えば、クラシック音楽の演奏は欧州どの国でも使う楽器はほぼ共通しています。歴史上の欧州の著名な作曲家、例えばブラームス、ショパン、モーツァルトなどと言えば、欧州人であれば皆、その名前を知っているばかりか、音楽の中身についてもそれなりの知識を共有しています。スロバキア人なら欧州の某大使館からコンサートの案内が来ても、「ああ、あの音楽か」と、すっと入っていけるわけです。
これに対して、日本を含むアジア諸国の文化・芸術については、欧州各国においては、一部のマニアックなファンを除き未だ知名度が高くないのが実情です。多くの欧州の人々にとって、アジアの文化芸術というのは、依然「エキゾチックな」存在なのです。したがって、例えば同じく音楽を例にとれば、日本の作曲家や演奏家をスロバキア人に紹介してもご存じないことが殆どですし、楽曲についても馴染みがないものが殆どです。そこをなんとかコンサートに来ていただいて、実際に楽曲を聴いていただき、好きになっていただければこちらのものです。しかし、やはり耳慣れた欧州の音楽に比べて、アジアの音楽についてはオーディエンスの側に背景や予備知識が殆どありません。それを乗り越え、受け入れて、楽しんでいただくためには、ある程度の好奇心と時間を要するように思われます。
いずれにせよ、百聞は一見にしかず、です。皆さんのお出でをお待ちしています。
参考 日本夏祭りのプログラム
旧市庁舎中庭
13:30 茶道デモンストレーション(裏千家講師 高松宗力氏)
14:00 生け花デモンストレーション(草月流 小宮山智子氏)
14:45 着付けデモンストレーション/日本舞踊ワークショップ
15:15 盆栽デモンストレーション(盆栽センター・ブラチスラバ)
15:45 将棋・碁デモンストレーション(スロバキア将棋協会)
16:15 柴犬紹介(Shiba inu Slovakia)
中央広場
17:15 オープニング(鏡割り)
17:30 音楽コンサート(フダーク・アンサンブル・ウィーン)
18:00 上方舞(日本舞踊)公演(小川流四世家元 小川照氏)
18:30 武道デモンストレーション(クリラ武道館(合気道),Judo Club Patronka、Judo Club Levice(柔道)Slovak Karate Union/Sports Club Bratislava(空手))