中川真大使着任のご挨拶

2020/9/3
 


このたび、駐スロバキア日本国特命全権大使として着任いたしました中川真(なかがわ まこと)と申します。820日にチャプトヴァー大統領に信任状を奉呈し、本格的に公務を開始いたしました。本年は、日本・スロバキア交流100周年という記念すべき年となっております。これまで順調に発展してきた二国間の経済関係、人的交流、文化的交流などをさらに促進していけるよう、全力を尽くす所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

先日、ブラチスラヴァ市内のユニバーシティ・ライブラリーで開催されている「トリアノン条約関連文書展覧会」のオープニングにお招きいただき、出席して参りました。トリアノン条約とは第一次世界大戦の戦後処理のための条約の一つで、19206月にヴェルサイユの大トリアノン離宮で署名された条約です。スロバキア人にとっては、第一次世界大戦後に建国されたチェコスロバキアの領土を確定した国際条約であり、歴史上はじめて国名に「スロバキア」を含む国家の国境を決めた重要な歴史資料です。

 

不勉強でお恥ずかしいのですが、何故日本の大使がそのようなイベントに招待されるのか、最初はわかりませんでした。調べてみますと、日本はトリアノン条約の署名国だったのです。当時、日英同盟を結んでいた日本は連合国側から第一次世界大戦に参戦し、戦勝国として米・英・仏・伊等とともにトリアノン条約に署名しています。日本人は学校で日英同盟のことは必ず勉強しますが、その日英同盟がきっかけで、当時の日本が遠く離れた中欧の、スロバキア人の国の領土を確定する歴史に関わっていたことを知る日本人は非常に少ないと思います。展覧会場で、100年前に日本の松井慶四郎駐仏特命全権大使が署名したトリアノン条約の写しを目にしたときは、大きな感慨をおぼえました。

 

これも私事になりますが、わたくしは自転車に乗ることが好きで、以前、パリで勤務していたときにはロード・バイクで通勤していました。スロバキアに着任後、街中に自転車があふれているのを見て、さっそくマウンテン・バイクを購入し、週末にはドナウ川沿いを走ったり、モラヴァ川沿いの自然豊かなトレールを楽しんだりしております。時には、ブラチスラヴァ市街のすぐ北側に広がる小カルパチア山地の一角をなすフォーレスト・パークで本格的な山道にも挑戦します。都市での生活と豊な自然がすぐ隣合わせにあるわけで、東京では想像もつかないような贅沢なワーク・ライフ・バランスです。

 

まだ自分の目で見ておりませんが、スロバキアの国歌にも歌われ誇りとされるタトラ山地の景色、そのほか四季折々の果実はじめ豊かな山の幸、それらから作られる多種多様なお酒など、食生活についてもスロバキア人が誇りとするものがたくさんあります。スロバキアはとても豊かな国であると日々実感いたします。

 

しかし、残念ながら、多くの日本人はまだそのことを十分知りません。これからもスロバキアの豊かさ、魅力を自分の目で、耳で確かめ、日本人がスロバキアについて知っていることを少しでも増やしていく努力をする所存です。そして、日本とスロバキアの友好が、次の100年も発展し続けることに貢献したいと願っております。

 

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