【大使活動報告】トポリュチャニ市への訪問(2)(2021年10月5日(火)):アポニー家の図書館訪問

2021/10/7
   引き続き、トポリュチャニ市のジエッチオーヴァ市長に、近郊のオポニツェにある、アポニー家の図書館を案内してもらいました。
 
   恥ずかしながら全くの不勉強でしたが、現在オポニツェと呼ばれているこの地は、ハンガリー王国時代、さらにハプスブルグ家のもとでオーストリア・ハンガリー帝国となった時代を通じ、最有力の貴族のひとつであったアポニー家が城や館を構えた本拠地であったそうです。当時は地名もアポニーでした。そのアポニー家が18世紀後半から図書コレクションを始め、最盛期には3万冊を超える膨大な図書を揃えたものが、今に伝えられ残っています。
 
   ウィーンで始められた図書コレクションは、その後プレスブルグ(現在のブラチスラヴァ)に移され、さらに一家の本拠地であったアポニーに移され、壮大な館に図書館として整備されたそうです。第一次世界大戦後にオーストリア・ハンガリー帝国は解体され、一家はアポニーを去りましたが、館と本はそのまま残されました。第二次世界大戦後の社会主義化とともに館は朽ち果て、貴重な図書コレクションも放置されていたそうですが、幸い、1970年代に図書だけは別の場所の国立図書館に移され、散逸、破損を免れたようです。10年ほど前に民間企業がオポニツェに「ホテル・シャトー・アポニー」としてアポニー家のマナー・ハウスを再建した機会に、アポニー家図書はもともとあった場所に戻ることが出来たという変遷だそうです。
 
   現在のスロバキアの近世・近代における歴史の変遷をそのまま辿ったような来歴を持つ、貴重な図書コレクションです。現在も2万冊をゆうに超える蔵書のほんの一部を見学しましたが、ニュートンが万有引力の発見を報告した本、コペルニクスが地動説を発表した本、デカメロンの立派な革装丁本など、見たこともない希少本ばかりで、一見して凄いコレクションであることがわかります。ハンガリー王国時代の大貴族の生活ぶりを思い浮かべることができました。
 
   こんな素晴らしいアポニー家図書コレクションが、人知れずスロバキアの小さな街、オポニツェに眠っているのです。
 
   知れば知るほど、スロバキアにはまだまだ凄いものがあるのだ、と感銘を受けました。