【大使活動報告】2021年6月23日 中川大使のマチェイ・フレベンダ盲人図書館訪問
6月23日の午後は、レヴォチャ市内にあるマチェイ・フレベンダ盲人図書館を訪問し、これまでも大使館が大変お世話になってきたハサイ館長と懇談しました。
まず、ハサイ館長の案内で、2020年の日スロバキア交流100周年を記念して図書館正面玄関脇の敷地に植樹された桜の木を見させていただき、続いて、さくらの横に設置された、スロバキア語、日本語、そして点字で書かれた記念プレートの除幕式をハサイ館長とともに行いました。
続いて、図書館内を見学させてもらいましたが、図書館内に、盲人用の録音図書の音源を作成する録音スタジオが整えられ、見学中も録音作業が行われていたのが印象に残りました。録音機器には、かつて日本の文化無償資金協力で設置された機器を現在に至るまで丁寧に使い続けてもらっていることに感動しました。
現在、スロバキアでは文化無償資金協力を実施することは出来ません。大使館には、さまざまなスロバキアの団体(例えば、日本文化促進活動をしている民間団体など)から、大使館としての支援を要請されることが多々あります。しかし、ODA卒業国の日本大使館では、文化外交を推進するための大使館の手段は非常に限られているというのが大使として赴任してみての実感です。せっかくスロバキアの団体からアプローチを受けても、協力関係を発展させ、共同して文化外交事業をやり、もって日スロバキアの友好発展に資する、ということになかなかつながらないのが現実です。
もっと率直に言えば、文化外交においては「一緒にやる」ということが大事な要素だと思いますが、そのための「財源」がないと現実は動かないということです。ブラチスラバで各国大使館の文化事業、社会的事業をみていると、特にEU諸国大使館などは、館の大小にかかわらず、かなり広範に、かつ、立派な活動を民間団体などと協力して実施しており、その意味で存在感があります。詳細まで把握しきれてませんが、これら諸国では文化外交予算がキチンと手当されているとも聞いています。また文化外交を担う機関が大使館とは別に存在している国もあります。大使として赴任して以来、この課題の解決方法を思案し続けています。
レヴォチャの盲人図書館は、スロバキアで唯一の盲人図書館であり、点字図書、録音図書、拡大図書といった文書の発行も行なっており、これらのサービスは、視覚障害、弱視やその他の障害を患っている市民が利用しています。同図書館は自らこのような図書を作成して保管・管理しており、同図書館の存在意義は非常に大きいです。同図書館と在スロバキア日本国大使館は長年の友好関係を持ってきましたが、かつて日本が文化無償資金で提供できた録音機器はいつか更新が必要になります。その時には日本大使館も何らかの文化外交を展開できればと思います。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |