【大使活動報告】2021年10月21日(木) スロバキア国際児童芸術館(BIBIANA)及びブラチスラヴァ世界絵本原画展2021(BIB2021)の見学

令和3年10月22日
   10月15日から来年1月9日まで、ブラチスラヴァ城で開催中の、ブラチスラヴァ世界絵本原画展2021(BIB2021)を見学しました。それに先立ち、BIB2021の主催者であるスロバキア国際児童芸術館(BIBIANA)を訪問し、トゥヴルドン館長と懇談しました。
 
   ブラチスラヴァ世界絵本原画展(ヴラチスラヴァ・イラストレーション・ビエンナーレ、BIB)は、1967年から2年ごとに開催されている、児童図書原画の世界的なコンテストで、最も古いものの一つとされています。1967年の第一回展で最優秀賞であるグランプリを受賞したのは日本の絵本作家で、「いないいないばあ」や「ふしぎなたけのこ」で有名な瀬川康男さんでした。その後も日本人受賞者も多く、日本の絵本作家にとっても重要なコンテストになっています。今年のBIB2021でも、42か国から380人の絵本作家の作品が寄せられ、日本人も15人が出品しました。
 
   スロバキアは印刷・製本された本をとても大事にしている国です。この夏には、スロバキア文化省で開催された「スロバキアの最も素晴らしい本」コンテストの授賞式に参加し、デジタルの時代になっても、人類の英知を蓄積してきた印刷本を大事にするスロバキアの文化に感動しました(7月15日の活動報告)。50年以上の歴史を持つBIBは、その精神が児童図書の世界にも及んでいることを示しています。ちなみに、この「最も素晴らしい本」コンテストもBIBIANAが主催しています。
 
   BIBIANAは、1987年に、当時既に世界的な名声を得ていたBIBを準備・開催するための団体として設立されました。しかし、現在では、児童・青少年の成長に不可欠なアーティスティックな活動を、さまざまな斬新な手法で体験できる児童・青少年芸術体験館ともいうべき場所に発展していて、諸国の注目を集めています。館内では、さまざまな道具で絵を描いたり、ブロック状の素材で自由に形を作り上げたり、木製の積み木で自由に創造したりと、子供たちが多様な芸術活動を体験できるようになっています。このような児童・青少年向けの芸術活動支援を行う施設は、他国では例を見ないそうです。先日、トポルチャーニ市への訪問で体験した「プライマリー・アート・スクール」(10月5日の活動報告)も同様ですが、子供の成長過程において芸術的要素をとても大事にするスロバキアの考え方には感心するばかりです。あまり知られていませんが、あのアンディ・ウォホールのルーツも、ここスロバキアなのです。
 
   さらに感心したのは、BIBIANAの活動、BIBの開催、2年おきに開催される児童向けアニメーションの世界展覧会であるブラチスラヴァ・アニメーション・ビエンナーレ(BAB)の開催を含めた一切の活動がすべて文化省からの予算で賄われているということです。児童・青少年の健全な育成に必要な芸術的活動の発展のためには、国家が惜しみなく予算を投入するという考え方は素晴らしいと思いました。
 
   なお、現在、日本では「ブラチスラバ世界絵本原画展」の巡回展示が行われています。これは2019年のBIBで展示されたスロバキア、チェコ及び日本の絵本作家の原画を紹介しているもので、11月7日まで神奈川県の茅ケ崎市美術館において開催されています。本を大事にするスロバキアの文化を体験するために、出かけてみてはいかがでしょうか。
 
BIB2021のポスター
 
BIB担当のアノシュキノーヴァさんと
BIB2021を見学
BIB2021の日本人絵本作家の作品
コーナー
BIBIANAのトゥヴル
ドン館長と
       
BIBIANAの館内を見学

 
BAB担当のダナイ氏と懇談

 
現在、神奈川県の茅ケ崎市美術館
で開催されている「ブラチスラバ
世界絵本原画展」
日本での「ブラチスラ
バ世界絵本原画展」
のポスター