【大使活動報告】2021年10月19日(火) スロバキア外務・欧州問題省主催の「イノベーション・デー」セミナーへの参加

令和3年10月19日
   先月に引き続き、当地の外務・欧州問題省が外交団にスロバキアの先進的な企業を紹介する「イノベーション・デー」行事に参加しました。今回は初めて首都のブラチスラヴァを離れ、隣接するトルナヴァ県へ足をのばしました。
 
   最初は、小カルパチア山脈の北側のセニツァにある飛行場の近くで小型エンジンを使った軽量飛行機を開発・製造・販売しているSHARK.AEROという企業を訪問しました。SHARK ULという名前の、翼長8メートル程度、機体7メートル程度、最大二人乗り、100リットルの燃料で最大航続距離1600キロメートル程度というカーボンファイバー製の小型飛行機を製造しています。エンジンはオーストリア産のようですが、最高時速はこのクラスとしては世界最高の295キロを記録しているそうです。遠く、アジアからも商談があると聞きました。
 
   次は、小カルパチア山脈を南に超えて、トルナヴァの市内にある「物質科学・技術センター」を訪問しました。スロバキア工科大学の一部をなす研究所だそうです。広大な敷地を生かしてさまざまな研究施設があり、3Dスキャナー、3Dプリンター、大型レーザー加工機械などを使い、学生教育をしている現場を見ました。別棟にはイオン加速器も設置されおり、EUの支援も受けて相当高いレベルの研究装置を備えた物質材料研究センターであることが理解できました。しかし、教育機関として見ると、学部学生しかいないそうで、大学院レベルの教育・研究は行われていないそうです。スロバキアでは、優秀な学生が国外に流出してしまうという問題が長年の課題とされており、その一端を見たような気がしました。
 
   最後は、スロバキア発のグローバル企業の一つ、ESETの創始者のミロスラヴ・トルンカ氏との面談でした。ESETは1990年代にパソコンのウィルス除去プログラムの開発・販売からスタートし、現在はサイバー・セキュリティ・システムの会社として世界的に名声をはせているそうです。あのGoogleもESET社の技術を使っているそうです。日本でもキャノンがパートナーとなって、ESETの製品・サービスを販売しています。当地では「スロバキアのビル・ゲイツ」と呼ばれているトルンカ氏は、「小ローマ」と呼ばれているトルナヴァの出身で、その歴史的な美しい街並みの保存や新たな賑わいの場の創出に私財を投じ、出身地の「地方創生」に情熱を注いでいるようでした。
 
SHARK.AERO社のSHARK UL機
 
SHARK.AERO社での説明
 
物質科学・技術研究センターのイオン
加速器
     
 
ESET社創業者のトルンカ氏 トルナヴァ旧市街